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『おそろし〜三島屋変調百物語事始』読了。
JUGEMテーマ:読書


【第一話 曼珠沙華】
江戸は神田三島町の袋物屋・三島屋に奉公にやって来たのは、主人の姪であるおちか。実家で起こったある出来事をきっかけに人と交わる事を厭い、外に出る事を嫌って働き続けるおちかだったが、主人夫婦の代わりに客の相手を頼まれる。
しかし、訪れた客は庭に咲き誇る彼岸花を見て倒れてしまう。訝しむおちかに客が語ったのは、人を殺めてしまった彼の兄に纏わる話だった…。

【第二話 凶宅】
伯父の頼みで、おちかは三島屋を訪れる客の話を聞きだす役目を負う事に。
最初にやって来たのは、おたかと名乗る女。幼い頃、錠前直しの父親は小石川の屋敷で奇妙な依頼を受けた。木製の錠前に合う鍵を作って欲しいという事だったが、ある事情から錠前は父の手から離れてしまう。
すると、依頼主は父に「家族と一緒に、1年間この屋敷に住んで欲しい」と言い出した。さらに報酬は何と百両。破格の金子に釣られる形で、おたか一家は屋敷に移り住む事になったが…。

【第三話 邪恋】
自分を案じる女中頭・おしまの優しさに触れ、実家で起こったある出来事を語り始めたおちか。
川崎の旅籠の娘として育ち、幼なじみの良助という許婚もいたおちかだが、その結婚話は決してとんとん拍子に進んだものではなかった。
その中で振り回されてしまったのが、おちかの実家で育てられた捨て子の松太郎という青年だった。

【第四話 魔鏡】
自分の身に起こった出来事をおしまに打ち明けてから、ほどなく三島屋を訪れたのは仕立屋の娘だったお福。
病気のため、ごく幼い頃に江戸を離れて療養していた姉が家に戻って来た。14年ぶりに実家に戻ったために実妹のお福とも初対面だった姉だが、すぐに家族にも奉公人にも馴染み、幸せな日々を送っていた。しかしそれは、お福の実家を滅ぼす原因ともなったある出来事の、きっかけでもあったのだ…。

【最終話 家鳴り】
川崎の実家から、兄の喜一がやって来た。三月ぶりの兄との再会を素直に喜ぶおちか。しかし喜一が江戸まで出向いてきた理由は、おちかが川崎を離れて間もなく彼の夢枕に立っていた松太郎がふっつり姿を見せなくなったからだと言う。
さらに、かつて三島屋を訪れたおたかが松太郎とおちかの名前を口にしていると聞き、おちかと喜一はおたかの元へと駆けつけた。

サブタイトルに『百物語』とあったので、てっきり人外のモノが跳梁跋扈する怪談かと思っていたから、この展開はちょっと意外だった。

さすがは宮部さんで「読ませる」作品だし、一つ一つの物語が短編としても独立出来るだけの仕上がりになっていて、全体的な出来は良いんだと思う。けど通して読んでみると非常に物足りないんだよなー。
「本当に怖いのは人外のモノじゃなく、人間の心なんだよ」というテーマ(?)はそれはそれでいいんだけど、それがばばーんと表に出ていて「怪談」の持つちょっとした不条理感だったり、上記の内容だけじゃ収まらない「何か」が感じられない。結局のところ、妙にきれいな話になってしまっていて、自分の身に振りかぶった不条理な出来事を消化するまでの人間臭いどろりとした心の動きが書かれてなかった気がするのも、物足りなさを覚える一因かと。
同じ様に怖い話を扱った『あやし』の方が、やっぱり「ホントに怖いのは人間」というテーマであってもプラスして「何か」を感じさせる奥行き感や人間の心のどろどろ感があった気がするんだけどね。

最終話もちょっと締まらなくてイマイチだったかなー。「屋敷」や「番頭」の存在とか、彼とおちかの対話ってのは、この話が続く上でのテーマともなるべき事なんだろうから、もうちょっと重点を置いても良かったよな気がする。
「屋敷」という非現実の世界に足を踏み入れて解決を図るという設定も、なまじ別の作品で読んでいるだけに二番煎じ的な印象もあったし。

刊行直後に掲載された『ダ・ヴィンチ』の対談では、おちかが妻となり母となるところまで書かれていくらしいので、おそらく彼女の心も何らかの形で落ち着く事にはなるんだろう、きっと。
そこに至るまでの心の経緯、とりわけ「番頭」との対決がどんな風に決着づけられるのかはやっぱり楽しみなわけで。

なお、純粋に「怪談」として楽しめたのは【凶宅】かな。人間の意志が介在しない、まさに「人外」のモノが引き起こす理不尽な恐怖は独立した短篇としても面白い。
禁じられた関係が引き起こす【魔鏡】もいい。
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